2025.05.14
株式会社オートバックスセブン
カー用品の販売と取付・交換サービス、車検・整備を提供
https://kauriru.com/autobacs-emobirental
カー用品販売の大手として知られる「オートバックス」は、近年、単なる“モノの販売”から“体験の提供”へとビジネスの在り方を見直しています。その一環として立ち上がったのが、電動モビリティを対象としたレンタル・サブスクリプションサービスです。
「気になるけど買うには不安がある」「まずは試してみたい」そんなニーズに応えるべく、店舗の強みとサブスクの柔軟性を掛け合わせ、全く新しい移動手段の提供に挑戦しています。
もともとオートバックスでは、店舗で商品を販売することがビジネスの基本モデルでした。しかし、ユーザーの購買行動の変化やECの台頭に伴い、「“ただモノを売るだけ”では安定的な収益を築くのが難しい」という課題に直面していました。
“出かける楽しさを提供し続けるコトの会社へ”進化し、お客様の根本的なニーズに応えようとしたオートバックスは、自転車以上、車未満の“ちょうどいい移動手段”として注目される電動モビリティに着目し、2024年2月より一部店舗での取扱いを始めました。
店内に試乗コースを設けて、お客様に実際に乗ってもらう環境を整えていたものの、「実際の使用環境でも使用したい」「買う前に公道を走ってみたい」というニーズがあるのではないか?と考えたオートバックスはより手軽に乗れることを目的としたレンタル・サブスクリプションサービスの検討を始めました。
とはいえ、今までオートバックス店舗でレンタルやサブスクリプションサービスを展開した例は少なく、導入に向けては、以下のような課題がありました。
・顧客管理や在庫管理の体制がない
・レンタル予約受付、決済の仕組みが整っていない
・複雑なサブスク特有の収益計上や保険対応が必要
特に電動モビリティは精密機器であり、故障リスクや運用管理も多く、社内では「車両ごとの原価や収益の把握が極めて難しい」という声もありました。加えて、法人利用の場合は所有者登録や保険の加入といった手間も発生し、簡単には始められない事情が重なっていました。
そうした課題を解決する存在として採用されたのが、レンタル・サブスクに特化したSaaS「カウリル」でした。
中でも導入の決め手となったのが、トライアルで導入できるPoCパッケージの存在。小さく始めて、大きな判断につなげられる仕組みが整っていたことで、スピーディーに実証実験を開始することができました。
・実際のマーケットでどんなニーズがあるのか・運用面の課題は何か・どの程度の収益性が見込めるのか
など、サービス化に向けた“検討に欠かせない情報”を、実地で集めながら確信を持って判断を進めていけたのは大きな利点でした。
本サービスは、個人・法人問わず幅広い利用シーンに対応することを目指しています。
個人ユーザーにとっての魅力・買う前に試せるから安心・スペック表だけではわからない、坂道の走行や車載可否などを実車で確認できる・家の周りで使うことで、日常生活にどうフィットするかを体感できる
法人ユーザーにとってのメリット
・保険込みの契約なので、事故によるフリート保険料の増額リスクを回避できる・所有ではなく利用にフォーカスでき、登録手続きなどの手間も不要・宿泊施設や観光施設では、付加価値サービスとして活用可能
また、toBでは車種の提案から導入サポートまでを含めたパッケージ型の提案も開始。複数台導入やオリジナルプランにも柔軟に対応しています。
PoCから本格運用へ進む中で、以下のような成果と課題が見えてきました。
成果
・「思ったよりサブスクする人が多い」という新たな気づき・レンタルニーズに対応できる明確な基準と仕組みができた・経営層とも数字をベースに議論ができ、戦略的な意思決定が可能に
課題・故障対応へのスピード感に苦労(即日修理ニーズ)・送料が経費として大きな比重を占める・販売ガイドライン対応やオプション管理の柔軟性に課題が残る
特に、電動モビリティは「生活インフラ」として根付き始めているからこそ、「壊れたらすぐ直してほしい」という声も多く、アフター対応の体制強化は今後の大きなテーマの一つです。
オートバックスでは今後、以下のような展開を計画しています。
・車種ラインナップの拡充(ニーズに応じて順次追加)・自治体や地域企業との連携によるサービス普及・法人向けのカスタムプラン構築・電動モビリティそのものの社会的認知拡大
「地元での移動手段としてレンタルを始めたい」「従業員の近距離移動に使いたい」「観光客向けに貸し出したい」といった声にも応えながら、“買う”の前に“借りる”という新たな常識を広げていく──その未来に向けて、挑戦は続きます。